‖傭兵団「巓黎(てんれい)」・稲垣に師事‖
CrossRoad時代(旧天羅)の和彦<銃槍使い>(19)は、
自由取得技能欄をマンチにも専門技能で一杯にするそうです。
そのいいわけ。
===================================================================================
------------------------------------------------
■傭兵団「巓黎(てんれい)」
------------------------------------------------
(「巓」=(山の)頂き。「黎」=暗い。もろもろの。)
絶巓黎民(ぜってん、れいみん。)、民兵の頂点、の名を持つ傭兵団。
その名の通り民兵(サムライやシノビなど「人ではないもの」を用いていない一般の兵種)、
のみで結成され、専門技術を取得した機甲猟兵を主力として構成されていた。
一般的に傭兵団と言えばならず者の集まりで「戦働きは数合わせ、本業は略奪」
という烏合の衆が多いが、この巓黎はめずらしく「戦場での戦力」を売りにした傭兵団である。
<法術><陰陽術><操気術><早業>などを適宜に使用、また補佐することにより、
個々の能力・団体としての統率力共に高く、発祥の地(中央大陸北東部)では
「一行一基(いっこういっき。一隊でヨロイ一基の働きをするという意味)」
と恐れられていた。
しかし、略奪での取得分を報酬に上乗せしての契約形態は一般的な傭兵団よりも高額となり易く、
零年間に入り、機面ヨロイや薬式銃の普及など一般兵の戦闘能力の強化により、その地位を奪われ壊滅した。
(旧天羅マンチで構成されてるから(笑)。零ではできない)
※和彦がPC前に所属してたトコは、元日テレアナウンサー・み〇もんたが部隊の隊長(by如月十五)。から創作。
正式名称は「日輪巓黎(にちりんてんれい)」っていうのかもしれない。日テレ傭兵団。旧天羅マンチ部隊。
太陽の昇る地に数多居る民兵の頂点。っと。
※ちなみに、その美濃門 太郎(みのもん たろう)は後に『おもいっきり生瓦版』の発行を行っている。
帝記2603年(治神23年)生まれくらいか。考察時の年、和神8年時に45歳。
第四十二番導父(どうふ)「賢民(けんみん)」美濃門太郎。
美濃門『都道府県民、カミングアウト!』
……マジ?
===================================================================================
------------------------------------------------
■ねー、和彦、<陰陽術>誰に習ったの?を考察。
------------------------------------------------
[弾道計算]
θ=arctan{V二乗/gx+ルートV四乗/g二乗x二乗-1-2V二乗y/gx二乗}
初速→V
[腔内弾道] |
うんぬん。
(PLにゃ何言ってんのかわかりません。
下はまぁなんとか。でも上の微分とか積分とかもう何が何だか)
◇ ◇ ◇
「かーずーひーこー。美濃門の講義終わったんでしょ?
町に遊び行こ。こないだのあんみつ屋さん、奢ってあげるから半分づつしてさ〜、一週間で全種類制覇!
……なにやってんの?」
「算術」
「えー終わったって聞いたのに。っていうか、なんで手に包帯なんか巻いてるのさ?中二病?」
「……打たれた。仕方ない。実際の戦場で間違えれば隊の……人の生死に関わるんだ。」
覚えきれぬ自分が悪いのだ。座学は苦手だなどと言い訳が通る筈も無い。
とは言え、罰を受けた事など言いたい訳は無いのだから、見て見ぬふりをしてくれれば良いものを。
普段は嫌味なほど如才なく振る舞うくせに、こんな時には気が利かない。
「へー。で、まちがえないよーに、復習に励んでるってわけねー。
……でさ、この計算、ここんとこ、違うよ?」
「……。」目を細めて、教本と、己がタラヨウ(文字の書ける葉)に書き付けた文字を見比べる。
「ね、キミさ、目悪いんじゃない?」
「何を言う。遠的の成績はお前よりずっといい」
「遠く、じゃなくってさ。近く見る方。書見、苦手でしょ?たまに額押さえてるじゃない。
それ、目が悪い証拠なんだよ。無理して見てると気持ち悪くなっちゃうんだって、っさ。
ココの書はキミみたいなお子ちゃま用じゃなくって大人向けだからね。文字も小さいし。」
と言いながら、サラサラっと筆を動かす式打ち。
俺は子供じゃない!……と反論を言い終わる前に、何かをぽんと差し出された。
思わず手を出して受け取ってしまったので、言われるままに、瞳に当ててみる。
「……。」
見える。ぼやけて判別の付かなかった字の違いが、鮮明になった。
「ほら。じゅーぶんお子様、っだよ。こんな事にも気づかないんだから。
あー、そーだ。キミさ、15って嘘だろ。
こないだの隊紙の干支占い、キミ丑の欄見てたもん。だから、多分、13。もしかしたらまだ12とか?」
こんな軽薄男が、何故こんなに鋭いのだろう。
体躯には自信があった。小さな頃から(狭い村の中でだが)同世代の者に負けた事は無い。
今も背の丈なら美濃門にも劣らない。十分15で通じるはずだったのに。
「図星だろ。」
「……黙っててくれないか。それでも、俺が一番年長なんだ。」
弱みを握られたくは無かったが。稼ぎを待っている母や弟妹の事を思うと、
是が非でも此処に置いてもらい、手柄を立てなければならなかった。
「いーけどぉー?ま、一つ貸しってことで。」
そう小首を傾げてみせる姿は、悪意など無さそうに見える分、余計空恐ろしい。
「あ、そうそう。別に弱み握るつもりで歳の事言ったんじゃないんだった。」
だからって貸しを無しにはしないけどね〜っとへらへらしながら、稲垣は言葉を続ける。
「他の新人君達よりさ、キミってば基礎学力が足りてないって言いたかったわけ。
天才でもなければ、家庭教師が付くようないいトコの若様でも無いんでしょ?
ココは一人当千の傭兵部隊だよ?15だって若すぎるってのに。
寺子屋の基礎修練も未修了のキミには、そのまま専門技術の講義受けるなんて無理だよ。」
「だからさー。えーっと、なんだっけ。あ、そだ。『私の弟子になれ』。だ。」
「丁度イイだろ。私なら四則演算から判りやすく教えてあげられる自信あるしー?
使えるよーになったら、陰陽の技術はきっと役に立つと思うよ」
「……四則演算くらいできる」
「はいダウト〜。さっきキミが間違えたの、加法だもーん。四則演算の初歩の初歩でーっす。
それに式が立てられないで計算だけできても、それは出来るとは言わないんだよ」
確かに、このまま美濃門に師事して付いて行けるのかどうか、不安を感じる処ではあった。
稲垣は技術屋の<式打ち>であり、
本人だけ余りにも突出し過ぎて居てその技術を他の者に伝えるのは不得手、という芸術系の陰陽師ではない。
(知り合いがまさにそういう陰陽師だったのだ。本来ならば尊属にあたる親戚なのだが、
その血を引いていると言う事実は甚だ不本意なので「知り合い」と言う事にさせて欲しい。)
何度か共にした行動中も、簡潔で分かりやすい指示で、各々の力を引き出していたことを思い出す。
自己紹介で披露していた『好きな四文字熟語』は確か、量才録用(りょうさいろくよう)。
[※人がもっているすぐれた才能をよく見はからって、その能力を十分に生かす地位に登用すること。]
渡りに船、ではあった。
が、何か見逃しているような危機感を覚え、快諾するには憚られた。
まず、間違いを指摘するにしても、言い方がいちいち腹が立つ。
コイツの、二つ名は……。
「俺としては、ありがたいことでは……まぁ、あるような、ないような。
だが、そんなことをしてお前に何の得がある?」
「え?私の心配してくれるのかい。ありがと。でもダイジョーブ。
ちゃんと、体で払ってもらうつもりだから……」
「断る!!」
「えーー。なんで?」
なんでと聞くまでも無い事だと思うのだが。
此方こそ何故その条件で申し出を受諾すると思うのか、理解に苦しみ、
「そうだ、“変態”の稲垣……」という結論を頭に思い描く。
「んー。雑用係で終わるつもりなら、別に無理に勧めやしないけど?」
自分の思う通りに話が進まなかった不満を全く隠すことなく
子供のように頬を膨らませたふくれっ面で睨んできた後、“変態”は、
「でももったいないなぁ」と話をつづけた。
「隊としても、<陰陽術>まで会得できてる観測手や随伴兵は少ないし、機甲猟兵に至っては居ないからさ。
キミが使い手になってくれたら、戦力的にありがたいんだよね。
払われる報酬も増えるし、生き残る確率も上がる。ついでに私の負担も減る。」
指折り数えて利点を上げて、立てた三本指を俺の方に突き付けて、無邪気に笑いかけ、
「それに。」ふと、真顔に戻る。
「何のために新人いびりで半死半生だったキミを足軽見習いからウチに取り立てたと思ってるのさ。
その無駄に一途な頑固さと、青臭い成長期の吸収力って強みを生かして、
専門技能を身に着けた最高の機甲猟兵になってもらいたいと思ったからこそなんだよ?」
思ったより期待されていたようなのは、嬉しいような気もしないではなかったが。
だからと言って、身売りをしたいとまではやはり、思えない。
俺が欲しかったのは、他人にひき立てて貰っての立身ではなく、
自分の足で堅実に立ち、生き抜けるだけの力をつけることなのだから。
「言っとくけど、このまま美濃門の小姓で居たって、無事では居られないよ。だって、この傷」
美濃門に打たれた手の裂傷部を掴んできた。
稲垣は優男なので、大した力は篭められていない。
が、一度血が流れた程の激しい打擲を受けたところを掴まれ、痛みに顔を顰めてしまう。
「キミの力量を見抜けず不適切な問題解かせといて、その仕打ちなんだから」
「師匠として適切な対処とはとても思えないし。嗜虐的な嗜好が垣間見えるもん」
「もしキミがこのままの習熟度で居て、兵力として『使えない』と判断されれば、
きっと色小姓として扱われるだろうね。」
「なにせキミはよく見ればそれなりに整った顔立ちをしているし、
一見反抗的なようでその実、結局のところ権力には従順だ。人形として侍らせておくには至極丁度良い」
「『コドモ』は扱いやすい道具なんだよ。私たち『大人』から言わせてもらえばね」
「そして『コドモ』であることを求められた子どもは、『コドモ』でなくなった時に使い捨てられる。
知ってるかい?<ヨロイ乗り>の末路。それと同じようなもんだよ。だからさ、」
「どうせ道具になるなら、これからの人生にも長く生かせるよーな道具に
なったほうがいいんじゃない?キミとしてもさ」
大して年も違わない、大人かどうかは微妙な相手のはずだったが、(この時点で和彦は13才。だが稲垣も所詮18の若造。)
洞察力の鋭さには人生の先輩としての威厳も感じられ、わが身の卑小さを思案した。
のだが、奴はそこで一旦言葉を切ると、途端におどけた表情になって
寺子屋の悪ガキかと思うような子供に戻った。
「んーーーー。あっれ?もしかして、和彦さぁ、誤解してない?『体で払ってもらう』ってヤツ」
「まー、ソレにしたって、美濃門にヤラレるくらいなら、
私の方がずっとキミの肉体的にも精神的にも?満足させてあげられると思うけどねー(笑)」
一人勝手に腹を抱え手をたたいて、涙まで流して大笑いする。
この転換の速さ、感情を全く押さえない自由な突飛さは、多少腹も立ちもするが、
自分にはどう逆立ちしても出来ない芸当なので、いっそ感服に値する。……同じようになりたいとは全く思わないが。
そして、稲垣はひとしきり笑った後で、
「そういうネタも無いわけではないんだけどさ。
基本的には、…………コレと同じ」
俺の顔にかけっぱなしだった陰陽式で作られた道具、眼鏡、を、ひょいと取り上げると、くるっと回した。
「こういうのを実際に試してもらうだけだよ。そりゃ使い勝手とか感想も教えてほしいけど。」
「仕事内容は新商品の開発助手と、臨床試験の被検者。どぉ?
色小姓と、どっちがイイ?」
慣れた手つきで眼鏡を装着し、中央部を指で押さえながら挑むような流し目をくれてくる。
真剣な表情をしている時のコイツは、中性的な印象も相まって、
……なんというか、無下に断ってはいけないような気にさせられて。卑怯だ。
「わざと誤解させる様な言い方をしたくせに。」
せめてもの抵抗で、憎まれ口を利いてみても、暖簾に腕押し、糠に釘。
「それが判ったのなら重畳重畳。一つ賢くなったね。我が一番弟子君」
「……。」
否定しなかったことで、承諾とみなされてしまった。
(とは言え、その時はそれでも良いかと、判断したものなのだが)
「……師匠なんて呼ばないからな」
「えーーー。それは残念!なんて呼んでもらおうか楽しみにしてたのに。
……んーじゃ、先生は?お師匠様とか。」
「却下だ。」
「お師様。ご主人様。稲垣様。稲垣師。師範。アニキ。師叔。マスター。主上。マイネスマジェスティ。ユアハイネス!」
「最後の方のは訳が分からない……。ともかく、全部却下だ」
「えー。せめて敬語くらい使ってよー」
「嫌だ」
◇ ◇ ◇
……。
そうして、成り行きで師事してしまったコイツが、
やはり(性的錯誤者としての)変態でもあるのだと、嫌という程思い知らされることに為るのは、
そう、後の話ではない。
(『そういうネタも無いわけではない』=あるよ、ってちゃんと言ったよ?)
確かに、陰陽の術は役に立った。今でも大いに役に立っては居るとも思う。
しかし、この男と会い、振り回されたことがある人間なら、同意してくれるだろう。
―――――止めとけば良かったのに、と。
===================================================================================
蛍子ちゃんって鬼告の螢雪時代に藤麿なんて呼んだの?
先生?お師匠様?つか羨ましい。藤色コロス。
ってトコから、師匠への呼び方考えてて出来ました。
が。
蛍子ちゃんも藤麿も出てこない。
……なんでこうなった!?
2019/1 吾郎